◆ 本人が言っていたから
「突然失礼しました。」
彼は私の手をサッと離すと、何とも流暢な日本語で言った。
それにしても太宰とは。
彼奴の交友関係の広さに驚いていると、不思議そうな顔を向けられた。
「なまえさんの周りに太宰くんが居ないなんて、喧嘩でしょうか…それとも」
「ちょ、ちょっと待って!なんで私の名前」
「知ってますとも、太宰くんの"大切な人"だって、太宰くん本人から伺ってますから。」
写真も見せてもらったこともあるというのだから驚きだ。
どうせ隠し撮り。
一回…否、何回か殴らないと気が済まないな。
「残念だけれど、太宰はここには居ないですよ。
あと訂正で、私と奴がいつも一緒に居る訳ではなくて、"一方的に"纏わりつかれてるだけですから!」
確り訂正しておかなければと思い、語尾を強めに言い切ると笑われてしまった。
「ふふ、君たちは実に面白い。」
2019.07.19*ruka
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*confeito*