◆ case2 水飛沫に光る髪


昼休みも残すところあと十分程度。私は自販機の前に立っていた。
暑過ぎるので体の内側から冷やすべく、冷たい清涼飲料水を購入する為だ。
ついでに中也くんのパシリも兼ねている。
揶揄う心算はなかったのだが、結果的に中也くんを怒らせてしまったので「俺の分も購ってこい」と仰せつかった。
お金は確りくれる”良心的な不良”という新しいスタイルを確立している。
ひんやりとしたペットボトルを二本抱え教室へ戻る途中、外の水飲み場で頭から水を浴びる男子生徒を見掛けた。
いいなぁ、男子は。気持ち良さそう。
そんな事を考えながらぼんやり見ていると、その男子生徒が頭を上げ、ぷるぷると首を振った。
水飛沫を飛ばし、きらきらと光る髪色に見覚えがあり声を掛けた。

「賢治くん!」

「ん…?あ、なまえさん!こんにちは!」

武装生徒会の可愛い後輩、賢治くんだった。
両手をぶんぶんとしながら笑顔を振りまくから、思わず駆け寄った。
笑顔の賢治くんにつられて私も笑顔になる。

「暑いもんね、でもちゃんと拭かないと風邪ひくよ?」

そう言って、抱えていたペットボトルを水飲み場の縁へ置き、本人が肩からかけていたタオルでわしゃわしゃと髪を拭いてあげた。
一切拒まず、されるがまま「えへへ」と笑うので、暑さで砂漠化していた心が一気に潤った気がした。
“弟”というよりは”愛犬”がいたら、こんな感じなのかな。


2019.12.03*ruka



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*confeito*