◇ case5 涼やかなる白肌の咳


帰宅する時になっても太宰はどんよりしていた。
気温自体はまだまだ高かったが、日が落ちた今、日中よりは過ごしやすくなった。
太宰を無視して敦くんと肩を並べ歩いていると後ろに着いてきたので、帰宅する心算はあるらしい。
昇降口への廊下を歩いていると、反対側から咳き込む生徒が歩いてきた。

「あ、芥川くん。」

「太宰さん、なまえさん。」

「僕も居るけどな。」

声を掛けた私より先に、後ろで空気と化している太宰を先に発見するあたり、芥川くんらしい。
それと、何故か知らないが、敦くんと芥川くんは仲が悪いというか、太宰と中也くんみたいというか。
芥川くんには私の隣にいる敦くんが見えていないみたいだった。
否、ふんっと鼻を鳴らして顔を背けたので、実際は見えているのだ。
なんだかなぁ、と苦笑いしつつ暑いねと話し掛けた。
暑いですねと言葉は返ってきたものの、全く暑そうには見えない。
それに律儀にツッコミを入れる敦くんと芥川くんが小競り合いを始めたので、そっとその場から離れる。
喧嘩する程なんとやらって言うしね。
太宰は私に着いてきた。


2019.12.07*ruka



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*confeito*