◆ 放課後


「中原くん、今日はなんだか色々とありがとう。」

転校初日なのに、転校生に助けられまくっている自分を振り返る。
帰り支度をする中原くんの手が一瞬止まり、考える素振りを見せる。

「そうだったか?まぁ手前が俺を変な名前呼ばわりしたのは忘れねーよ。」

そう言ってニヤリと笑う中原くん。そこは忘れてほしかった。
中原くんとは出会ってまだ一日も経っていないけれど、太宰より余程好感が持てた。

「なぁ、手前は太宰の女「違います。」

中原くんの質問は、全文聞かずとも予測できたので、少々食い気味に答える。
中原くんは少し笑って、帰宅の準備を再開した。

「でもアレはどう見ても手前に惚れてるよなァ。丁度良い。」

何が丁度良いのか解らず、首を傾げる。帰宅準備を終え、学生鞄を右肩に背負うように持ち、私を見る。

「余計に燃えるって話だよ。」

ニカッと笑う中原くんに対し、矢張り意味が解らずに、頭上に疑問符を浮かべる。
私の疑問を解消する気はないらしく、教室から出て行こうとする背中を見つめる。
振り向かずに左手を上げて「じゃあな」と言われたので、「また明日」と応えた。


2018.10.13*ruka



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*confeito*