◇ どちらと急に問われても


「はーい、女子チームはお化粧直しに行ってきまーす!」

驚いている暇もなく、化粧室へと連行されてしまった。

「化粧直しって…するほどなまえは化粧してねぇだろ。」

「全く野暮だね、中也は。化粧直しという名の"作戦会議"さ。」

「作戦会議?なんの。」

「ちびっ子には未だ早いかな。」

「あ?」



「どう、フミちゃんとなまえちゃん。」

化粧室へ入ると、アヤちゃんとフミちゃんは徐に化粧ポーチを取り出し、化粧直しを始めた。

「どうもこうも!何で中也くんと太宰がいるの、同じ学校の人がいるなんて聞いてないよ!」

「あー、ごめんごめん!来れなくなっちゃった子が中原くん狙いで、誘ってもらったんだよね。
太宰くんは急に参加したいって言ってきたらしくて、飛び入りだから、私達も今日知ったんだよ。」

アヤちゃんが気になるワードを何気なく放つ。なんだろう、なんか少しモヤッとした。

「でもさぁ、太宰くんも中原くんも超イケメンだから、全然オッケーだよね!私も中原くん狙ってみようかなぁ♪」

「え!フミちゃん、狙うって…」

「私は太宰くんだなぁ、長身だし!」

「アヤちゃんまで…!」

なんだ、この気持ち。

「なまえちゃんは?」

「へ…?」

リップを塗りながら、アヤちゃんが私に問い掛ける。

「"どっち"が本命なの?」


2020.01.19*ruka



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*confeito*