学ストのすゝめ - ＊confeito＊

「そうだなー、五番が三番の頭を撫でる！」

ドキリと心臓が鳴った。
でも、そのくらいなら誰が相手でも大丈夫。
少し安堵の息を吐き、挙手をする。

「三番、私です。」

「五番は私ー！」

続いてアヤちゃんが元気よく手を挙げた。
私とアヤちゃんは、皆の前に出て命令を実行する。
難なく命令は実行され、次の割り箸を引く。
次は王様でありますように…割り箸を握った手をゆっくり開くと、一という数字が書かれていた。

「王様だーれだ！」

皆の顔を見渡すと、中也くんが口角を上げた。

「俺だ。」

悪い顔をしている。
一体どんな命令が下されるのだろうか。

「太宰が王様に跪け！」

立ち上がり、物凄い勢いで太宰に命じるけれど、一同、言葉が出なかった。
若しかして…ルールを理解していないのだろうか。

「全く、これだから世間知らずのちびっ子は厭なのだよねー。」

太宰が大袈裟に溜め息を吐き、肩を落とす。
これはゲェムだから、と他の男子に宥められながらルールを説明される中也くん。

「確率は六分の一か。なら、六番が俺に跪け。」

いかにも王様らしく命令を下すと、嬉しそうにフミちゃんが立ち上がる。

「私、六番！中原くんにならぁ、喜んで跪くよ♪」

皆の前に出る二人。ノリノリなのはフミちゃんばかりで、中也くんは太宰に当たらなかった時点で興味を失くしているようだった。
淡々と命令は実行され、また次の回。
…一体、このゲームは何回続くのだろう。と不安になりつつ箸を引く。
どうせ今回も王様は回ってこないのだろうと手を開く。
ほら、矢ッ張り。今度は二番と書かれた箸だった。

「王様だーれだ！」

静かに手を挙げたのは、太宰だった。

「ふふ、私が王様だよ。」

遂にこの時が来てしまった…戦々恐々としてるのは私だけだったが、中也くんも嫌そうな顔をしていた。

2020.01.20＊ruka

前 ◆ 続