◆ きっちり計ってるからな!


先程もデコピンだったし、今回も屹度、難易度の高くない命令だろう。
そんなことを考えていると、太宰が私を真っ直ぐ見つめながら言った。

「一から三」

命令が下されるのだと思い、耳を傾ける。

「…は、漢数字で書くと単純だよね。」

全員の目が点になる。命令ではなく、ただの会話。
アヤちゃんがそうだねと適当に相槌を打つ。周りの反応は気にせず、私だけを真っ直ぐ見ている太宰。

「よん」

誰もが四番への命令と思い黙る。

「でもいない、私がいてびっくりしたでしょう。」

これも唯の会話らしく、命令ではなかった。

一から三、四、これは明らかに確かめている…私の番号を。

「五」

ついに五番、私の番号だ。
ここで反応したら私の番号がバレてしまう。
平静を装って次の言葉を待つ。
太宰は突然、口元を押さえて肩を震わせる。

「決めた。五番以外は三分だけ外に出てて。」

「は?そんなのアリかよ!?手前ぇがなまえと二人になりたいだけだろうが!」

中也くんが声を荒げる。
…そんなに私が五番って解り易かったのだろうか。

「煩いなぁ、不平等アンフェアなのは解ってるよ。だから三分だけって言ってるだろう。」

「けどな…!」

「中也、王様の命令は?」

「………絶対。」

中也くんは変なところで律儀だ。
王様の命令は絶対という契に従い、全員が部屋を出ていった。
私と太宰を残して。


2020.01.24*ruka



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*confeito*