◇ 謎のモヤモヤ


「え?ちょ…」

慌てて逃げようとしていると、勢いよく扉が開き、何かが太宰の頭に命中する。

「時間だ、クソ王様。」

開かれた扉から、片足だけ靴を履いていない中也くんが入ってきた。なるほど、投げたのは靴か。
蹴りが飛んでこないなんて珍しい…若しかして、私への被害を考慮して?考え過ぎか。

「いっ…たぁー。何するのさ、蛞蝓の分際で!」

「あ?」

飽きもせず、また言い合いを始めようとする太宰と中也くんを、後から戻ってきた全員で宥める。

「まあまあ、次は席替えしようぜ!」

男女で分かれていた席を、男女ペアになるように三つに分かれる。
男子が一人多い関係で、一席だけ三人になってしまうが、そこにだけはならないよう祈りながらくじを引く。

私はとことんくじ運が悪いらしい。
アヤちゃんと太宰ペア、フミちゃんと中也くんペア、そしてその他という結果になった。
どこか上手く分かれ過ぎている気がしなくもないが、其々に分かれて着席する。
太宰はいつも通りの爽やかイケメンで接しているし、中也くんもいつもより笑顔が出ている気がする。
何を話しているかまでは解らないけれど、何だかんだ言って、二人とも楽しんでいるのかもしれない。

まただ…また、この感じ。
なんか、モヤモヤする。

「やっとなまえちゃんと真面に話せるね!な、ゴウ!」

右隣に座る男子が言う、左隣の人はゴウくんっていう名前なのか。

「本当だよな、ツヨシ!中也達のガードが固過ぎて話す隙がなかったもんなー」

私は普通にしていただけだけれど、ガードされてたのかな。よく解らなくて愛想笑いを返した。


2020.01.27*ruka



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*confeito*