◆ 態とに決まっているでしょう


「俺、見てて思ったんだけど、なまえちゃんって…髪、綺麗だよね。」

右隣の人、ツヨシくんに顔を向けると、手が伸びてきていた。

「サラサラだし。」

そう言って、米神辺りの髪に触れられたと思ったら、そのまま耳をなぞられる。

「ひゃッ!」

突然の刺激に変な声が出てしまった。
恥ずかしくて、耳を押さえながら俯く。屹度、顔が真っ赤になってるだろうから。

「若しかして、なまえちゃんて耳、弱いの?可愛い…」

ガタンッ!

再びツヨシくんの手が伸びてきた時、真ん中にあるテーブルが大きな音を立てて跳ね上がった。

「ごっめーん、足組んだら当たっちゃった。」

悪いと思っているとは思えない表情で、太宰が言う。
あれ、なんか、私…睨まれてない?

「足が当たったンなら仕様がねぇな。」

珍しく中也くんが太宰にフォローを入れる。
…フォローなのか?
中也くんも太宰ではなく、私を見ながら言った。
一瞬沈黙が流れて、また其々で話し始める。

「なまえちゃんってさ、モテそうだよね!本当に彼氏いないの?」

今度はゴウくんに話し掛けられる。苦笑いしながら首を横に振り、否定した。

「いないよ、それに全然モテないし。」

「えー、俺なら放っておかないのに!あっ」

ゴウくんは何かに気づいたらしく、私の顔をじっと見ながら顔に手を伸ばす。
先のこともあり、流石に身構える。

「え、な、なに…?」

「ちょっとじっとして。」

ゴウくんの手が顔に触れる直前、目の前を何かが高速で横切る。この既視感…
ドスッと鈍い音がした方を見ると、壁にフォークが突き刺さっていた。


2020.01.28*ruka



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*confeito*