◆ 何故なら真実を導くのですから
「なまえ、あったよ。」
未だ半べそをかきながら探していたなまえに、呼び掛けながら太宰が近寄る。
「ほ、ほんと!?」
なまえの顔が一瞬で明るくなり、太宰に駆け寄る。はい、と目の前にキーホルダーを差し出すと、なまえは大切そうに両手でそれを包んだ。
「ありがとう…ありがとう、太宰!」
また涙目になりながら太宰を抱き締める。珍しいなまえの行動に、太宰は一瞬驚いてから優しく抱き締め返した。
然し直ぐにその腕から離れ振り向くと、服を叩く中原に近づく。
「中也くんも、ありがとう!」
中原は涙目で言うなまえの頭に手を伸ばす。
何だろうと、中原を見つめていると、その手はなまえの頭についた葉っぱを取り戻っていった。
「見つかったンなら、良かったじゃねえか。もう泣くなよ。」
眉を下げて笑った中原に、なまえは笑顔で返す。すると後ろから伸びてきた腕が、再度なまえを包む。
「なまえ、もっと私の胸で泣いてもいいんだよ。」
「もう大丈夫、手洗ってくるから待ってて!」
太宰の腕を振り解き、頬を染めながら手洗い場へと駆けていった。
2020.03.04*ruka
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*confeito*