◇ 寄り道 2
クレープ屋さんは列を成してはいたものの、約十分ほど並んだだけで購入する事ができた。私と敦くんは定番のチョコバナナ、賢治くんはフルーツミックスを選んだ。
「あれ、太宰食べないの。」
「厭だなぁ、なまえ。わかってるくせに。」
ニッコリと微笑まれる。まぁ、そんな気はしていたけれど。
「はいはい、半分こね。」
溜め息を吐かずにはいられなかった。
とりあえず太宰は放置しておいて、可愛い弟達と至福の時を楽しむとする。
「ん〜!甘くて美味しいね!
チョコとバナナの量、クリームの甘さ、どれもちょうど良い配合!」
やっぱり定番中の定番、美味しくない訳がない。
敦くんも賢治くんも美味しそうな笑顔を見せる。
私が二口、三口と食べ進めると、太宰が我慢できなくなったのか、反対側から噛り付いてきた。
「ちょっと!今あげるから待ってよ。」
「これがしたいの、私は。」
女子か。
太宰は幸せそうだが、私は気分を害された。
落ち着いて食べたいのに、太宰からクレープをガードするように食べようと背中を向ける。
すると後ろから抱きついてきたので、肘鉄を喰らわす。
「あ!」
「え?」
私たちの様子を笑顔で見ていた賢治くんが、突然声を上げた。
2018.10.16*ruka
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*confeito*