◆ 寄り道 3


どうやら私の方を見ている。
何だろう、と賢治くんを見ていると近付いてきた。

「なまえさん、じっとしていて下さいね!」

「へ?あ、はい。」

いつもの笑顔でお願いされ、大人しく従う。

ぺろり

「ひゃ!」

賢治くんの顔が近付いてきたと思った、次の瞬間。
頬をぺろりと舐められた。

固まる賢治くん以外の三名。
徐々に顔に熱が集まってくる。
敦くんの顔もみるみる内に赤くなってきた。
今日これ見るの、何回目だろう。

「わぁ、チョコも甘くて美味しいですね!」

状況は解った。
屹度、さっき太宰が無理矢理噛り付いてきたせいで、私の頬にチョコが付着してしまったのだろう。
それで賢治くんのこの行動…
恐るべし、天然。

「あ、あり、がとう?」

思わず日本語が片言になる。
太宰はいつの間にか私から離れ、上級生風の表情で賢治くんに話し掛ける。

「賢治くんは優しいね。けれど、そういった行為は、私となまえの様な関係性の者同士がするものだよ。
要らぬ誤解を招き兼ねないから注意しようね。」

待て待て、私と太宰の関係性について詳しく説明を求めたい。
賢治くんは目をぱちくりさせた後、不思議そうな表情を浮かべ太宰に問い掛ける。

「お二人のご関係って、お友達ですよね?」

「違うよ、将来を誓い「うん、そう唯の友達だよ!」

太宰の回答に割って入る。
危ない危ない、賢治くんは純粋だから、太宰が言った事を簡単に信じてしまう恐れがある。
ここは確り否定しておかないと。

「あ、あの…なまえさん!」

赤面していた敦くんが、更に顔を真っ赤にして私を呼んだ。


2018.10.17*ruka



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*confeito*