◇ 無駄遣いは絆創膏か包帯か
太宰の拘束から逃れるべく、じたばたと暴れてみるも、悔しいことにびくともしない。
「いい加減離して!」
「だぁめ。いいかい、君はね、君が思っている以上に他人の目に多く映されているのだよ。この意味が解るかい。」
太宰の言葉に動きが止まる。え、それって目立ってるってこと?だとしたらそれは私自身の問題ではなく、絶対的に太宰の所為だと思うんだけど。
「解ったらもう少し自覚を持って…」
呆れた様に言いながら、太宰が拘束を弱めた。その時である。
「悪ぃ、備品運んでたら指切っちまったみたいで絆創膏、を…って太宰!手前ぇ、こんな所に居やがったか!」
天敵(?)中也くんの声が背後から聞こえ、再びきつく拘束される。なんなら先程より強い力で。正直、苦しい。太宰は一瞬背後を見て直ぐ戻った。
「何か聞こえた気がしたけれど、誰も居ないし気のせいみたいだ。さ、なまえ、続きをしようか。」
「なッ!見えてンだろーが!つか、なまえ離せ、変態青鯖!」
「い・や・だ!それにね、そんな傷、中也なら放っておいたって直ぐ治るよ。唾でもつけておけば?絆創膏の無駄遣いしないでよね。」
「手前ぇ、確り見えてンじゃねーか…!つか、包帯無駄遣い装置に言われたくねぇわ!」
本人そっちのけで話が進む。中也くんが私の背後に回り込み、お腹周りをがっしり掴んで剥がしにかかる。正直、痛い。
もう好きにしてと脱力し、前にもこんな事あった気がすると思いながら二人の遣り取りを聞き流していた。
すると放送が流れる。
『間もなく、紅白対抗綱引きが始まります。出場する生徒は入場門へお集まり下さい。』
それを聞くや否や、太宰が頑なに離さなかった腕をパッと離した。私は中也くんにぬいぐるみの様に抱きかかえられる恰好で、反動により立ち上がった。
「私、綱引き出るんだった。またね、なまえ。ちゃんと応援してよね。」
手をひらひらとさせて太宰は去って行った。
暫くの沈黙。
「…手当て、しようか。」
「…おぉ、頼む。」
2020.09.30*ruka
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*confeito*