◆ 放送係のお仕事


中也くんに更なる玉入れの助言を熱心に受けるが、来年は玉入れに参加するかどうかも解らないからなぁとは言い出せなかった。
まだまだ続きそうな熱弁に、申し訳ないが言葉を挟む。

「ごめん、そろそろ放送係の仕事に行かないと。」

「あ?なまえは救護係だろうが。」

中也くんは正しい。私は苦笑いを向けただけだったが、それで全て理解してくれたようで、厭そうな表情に変わった。

「あの木偶の尻拭いか…放っておきゃあいい。」

深い溜め息と共に、尤もな意見を述べる。然し私は首を横に振った。

「ううん、国木田先生にも頼まれた事だし、それに他の人にも迷惑が掛かっちゃうから。なるべく被害は最小限に留めたいから。」

「損な役回りだな。」

それには答えず、曖昧に笑ってその場を後にした。

放送天幕に着くと、なんと、太宰が既にそこに居た。

「あれ、ちゃんと来たんだ。」

意外、と反応をみせると、口を尖らせて拗ねた素振りを見せる。

「私だってちゃあんと係仕事くらいやるよ。心外だなぁ。」

その割に、マイクには一切近付いていない。
一先ず隣の椅子に座り様子を窺っていると、真剣な面持ちで進行表を見ていると思ったら何やら折り始めた。
この手つきは…紙飛行機だ。
矢張り、と呆れつつ、持参した進行表に目を通す。もう少しで招集案内放送をしなければ。
ちらりと横目で太宰を見ると、今度は玉入れの玉でお手玉を始めていた。
私がやるしかないな。怒る気力もなく、再び進行表に目を落とした。


2020.10.19*ruka



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*confeito*