◇ 真似事だとしても
最後の継走は正にトリに相応しく見物だった。
転倒してしまった敦くんが立ち上がり、諦めずに必死にゴールを目指す姿には感動すら覚えた。
それも、隣に居る芥川くんの一喝で奮い立つなんて…なんだかんだ言って、善い好敵手関係なんだなぁ。
一位の旗を持って嬉しそうに笑う敦くんに、大きな拍手がおくられた。
その敦くんが私と芥川くんの方へ向き、小さくピースサインを向けたので、私は何度も頷きながら懸命に拍手をした。
それから隣で腕組みをしてムスッとしている芥川くんの頭をぽんぽんと撫でた。
「…なまえさん、なんの真似です。」
視線だけを向けられ睨まれているような感じはしたが、私の顔は緩みきっていた。
「芥川くんもいい子だから。」
「僕は童子ではありませぬ。なまえさんと同じ事をしてみただけ、唯の気紛れです。」
一つ二つと咳き込む横顔を見上げる。やめてくれと言われないので、頭は撫でたまま。
「私と同じ事?」
「“敵に塩を送った”、それだけ故。」
表情まで私の真似をしているのか、にやりと口を歪めた。
私もこんな悪そうな顔をしていたのだろうか、ちょっと反省した。
「芥川くんに塩を送ってよかった。」
笑いながら言うと、芥川くんも少し笑った様に見えた。
2020.12.03*ruka
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*confeito*