◆ あっぷっぷ
名案でしょ、とニッコリ笑顔を向けられた中原には、首を横に振ることが難しかった。どうにもなまえの屈託のない笑顔に弱いらしい。
別に中原はアイスを食べたいとは思っていなかったが、昼休みもまだ時間がある。暇つぶしに付き合ってやることにした。
「で、何の勝負をするんだ。」
「んー、にらめっことかどう?」
腕っ節では中原に勝てないことが解っていたので、日常的に敦達とよく遊んでいるにらめっこを提案した。
どんな勝負でも負ける気はしない中原は二つ返事で了承した。
「じゃあ、いくよー!にらめっこしましょ、笑うと負けよ、あっぷっぷ!」
なまえの掛け声でアイスを賭けたにらめっこが開始した。
が、両者共、にらめっこにしては無表情。変顔をする気配はなかった。
「おい、何だよ。そんなんじゃ笑えないぜ?」
なまえは無言の儘、中原を真っ直ぐ真顔で見つめ続けた。
顔立ちが良い方のなまえに見つめられるのは悪い気はしなかったが、あまりにも真っ直ぐに見つめられるものだから、中原は笑わずとも気恥ずかしく思えてきた。
するとなまえはそんな中原の胸中を察したかの様に、突然片目を瞑った。
2018.10.22*ruka
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*confeito*