◆ 間抜け面と紳士
「手前、他の奴等にこんなとこ見られたら、勘違いされるんじゃねえの。」
中原くんは若干照れているのか、頬が赤い気がした。
「勘違い?」
私は何の話か解らずに疑問符を浮かべる。
「だから、太宰とかに見られてもいいのかよ。」
何故ここで太宰が出てくるのが不思議でならなかった。ますます訳が分からない。
中原くんに顔を向けると、肩を震わせて笑っている。
「…すっげぇ間抜け面。」
そう言って、私が持っていた傘を然りげ無く持ってくれた。
彼は不良だが、基本行動は紳士だ。
他愛もない話をしながら駅へ向かう。太宰の悪口では見事に意気投合した。
中原くんとの会話は楽しくて、あっという間に駅に着いた。
中原くんはどうだっただろうか、楽しかっただろうか。
駅までの道のりを長く感じてはいなかっただろうか。
屋根のある場所に入り、傘を畳みながらそんなことを考える。中原くんは傘のお礼を述べてくれたが、私はあることに気づく。
「中原くん、肩がビショビショ…!ごめん、傘小さかったよね。気づかなくて本当にごめん。」
私と隣り合う肩と逆の肩が、雨でびっしょり濡れていた。
中原くんは「気にすんな」と言うけれど、気にしないなんて出来る訳ない。
慌ててハンカチを取り出し肩を拭く。
こんなの、気休めにしかならないとは思ったけれど、何もせずにはいられなかった。
2018.10.25*ruka
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*confeito*