◆ 噂の二人


朝の予鈴が鳴る。
中原は昇降口にいた。
予鈴が鳴ったからといって、特段慌てることもなく、マイペースに上履きへ履き替える。
教室に向かうべく昇降口から廊下へ進むと、仁王立ちをして行く手を阻む人物が居た。
中原は舌打ちをし、その人物を睨みつけた。
教師ではない、包帯を巻いた生徒だった。

「何か用かよ、太宰。」

そこには太宰が立っていた。
何やら不機嫌オーラが溢れ出ていた。

「中也。君、何故私が怒っているか、心当たりあるよねぇ。」

腰に両手を当てて、高圧的な態度で話しかける太宰。
太宰が怒る対象といえばなまえ。
ということは、昨日の帰宅時のことかと直ぐに思い当たった中原は、ニヤリと笑い答えた。

「手前がムカついてんなら、俺は愉快だ。」

中原の答えに太宰は舌打ちをする。腕を組み、更に厳しい表情で続けた。

「昨日、中也と可愛い女の子が"相合傘"で駅へ向かう姿を、何人もの生徒が目撃したと言っているんだよ。
なまえの家は駅とは反対方向だし、真逆とは思ったけれど、中也と相合傘をする物好きなんてなまえ以外にいる訳ないし、
中也の周りの可愛い女の子なんてなまえ以外いないし、なまえだったって目撃証言もあるし!」

話しながらボルテージがどんどん上昇してく太宰。自然と中原に詰め寄っていた。


2018.10.27*ruka



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*confeito*