◇ そんな事は聞いてない
中原は、うーんと何か考えてる様子を見せた後、詰め寄る太宰を押し退けながら言った。
「みょうじは可愛いよりも美人だろ。」
中原の思いがけない一言に、太宰は一瞬驚きの表情を見せた。その後すぐに人差し指を中原へ突き付け言い放つ。
「そんな事を聞いてるんじゃないよ!中也に一体なまえの何が解るっていうんだい。
抑もなまえは可愛くて美人なの!」
一息ついて、中原の胸ぐらを掴んだ。
こんなに感情的になる太宰は珍しく、余裕のない太宰を中原は嗤った。
「…なまえに何かあったら、許さないから。」
言い終えると、中原を掴んでいた手をぱっと放す。
中原が掴まれていた箇所を叩き顔を上げると、太宰はもうそこには居なかった。
「佳い展開になってきたじゃねえか。」
ニヤリと笑う中原の肩を背後から叩く人物が居た。
「あ?」
振り向くとそこには、国木田が鬼の形相で立っていた。
「なーかーはーらー!お前って奴は毎日毎日遅刻してきて、俺の理想を悉く乱しおって…!
もうとっくにホームルームは始まってるぞ!」
くどくどと一人だけ説教を受ける中原。
太宰の逃げ足の速さを恨んだ。
2018.10.28*ruka
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*confeito*