◇ セクハラ疑惑
「な…中原くーんっ!おはよう〜」
今にも泣き出しそうな私を見て、驚く中原くん。
「なんだ、どうした?体調でも悪いのか?真逆…昨日の雨で風邪でもひいたか!?」
心配そうに慌ててくれたその優しい姿が、ますます涙腺を刺激する。ポロポロと涙が出てきて、周りがザワつく。
「おいおい、大丈夫かよ。」
ひそひそと中原くんが私を泣かせたのだの何だのと、クラスメイトが小声で話をしている。
ちゃんと否定したいのに、涙が邪魔をする。
寧ろ、中原くんは持っていた鞄を放って、私の背中を撫でてくれていた。
また中原くんに迷惑をかけていることに、申し訳なさと情けなさとが混じり合う。
突然勢いよく教室の扉が開かれる。誰が来たのか直ぐに解ってしまう。
おかげで涙が少し引っ込んだ。
「なまえっ!中也にイジメられてるっていうのは本当かい!?」
煩いし、違うし、面倒臭い。
制服の袖でぐいぐいと涙を拭い、声のする方を向く。
「太宰、勘違いだから。さっさと自分の教室に戻って。」
「非道いっ!」
お馴染みのくだりを終えた後、太宰は何かを見つけて発狂した。
「ちょ…中也!セクハラ!今直ぐその手を離して!」
それは私の背中を摩ってくれていた中原くんだった。
本当に此奴は人の好意を無下にして…
太宰が近づいてくる。
いつもの軽いノリの喧嘩だと思っていた。
すると太宰は中原くんの手をいきなり捻りあげた。
結構な力が加えられている様に見えたが、中原くんが顔色一つ変えないので、どの程度なのか解らなくなった。
2018.10.30*ruka
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*confeito*