◇ 彼らしい誘い文句


これでチャラ、とは言ったものの…
全然納得してらっしゃらないご様子の中原くん。視線が痛い。
頂戴した唐揚げを頬張りながら、中原くんを見つめ返してみた。
するとぷいっと視線を外された。なにそれ、ちょっと可愛い。

「……………かよ。」

ん?何か言った?
唐揚げを漸く飲み込んで、中原くんを覗き込んでみる。

「今、何か言った?」

おやおや、そこには顔を真っ赤にした中原くんがいた。つい顔がニヤけてしまう。
中原くんに執拗にちょっかいを出す、太宰の気持ちが解る気がした。

中原くんは私のニヤけ顔に気付き、盛大に舌打ちをして、怒鳴るみたいに言った。

「俺と出掛けんのがそんなに嫌かよっ!」

こんな中原くんらしい誘い文句を聞いてしまったら、断るなんてできる訳ない。
小さく笑ったら怒られてしまった。
そんな真っ赤な顔で睨まれたって少しも怖くなんて、ないけどね。


2018.11.06*ruka



<<back


*confeito*