◆ v.s. 太宰


「で、どうすんだよ。」

未だ熱の冷めやらぬ顔で聞いてくる中原くん。私的には借りを返してもらうという心算は微塵もなかったが、お誘いを受けることにした。
私の返事にちょっと嬉しそうな表情を見せた中原くんに、心拍数が上がった気がした。
勘違いしないように"友達と遊ぶだけ"と、自分に言い聞かせる。
少しだけ切ない気持ちになったけれど、土曜日が楽しみで仕方ない気持ちの方が大きかった。



放課後、武装生徒会室に入るや否や、挨拶をする間もなく何者かに手を強く引かれる。
何者か、言うまでもなく太宰だった。
強制的にいつもの席へ座らされる。そして目の前には太宰。
嫌な予感しかしなかった。冷や汗が一筋背中を流れる。

私はあまり感情を殺すことには長けていない。
考えていること、機嫌が解り易く表情に出てしまう類だ。
それをよく知る太宰が先程から私の顔をガン見して、大層不機嫌そうな表情を向けられている。
此奴の場合は、感情を見事に隠すことも簡単にできるはずなのに、敢えてしていない。

ここで反応したら負けだ。
太宰はこの状況に耐えかねて、私が音を上げるのを待っているのだ。
この勝負には負けられない。
負けたら最後、ここに至ったまでの経緯を根掘り葉掘り詰問される。
こちらの気持ちは無視して、それはそれはエグい尋問とも言える時間が訪れることだろう。


2018.11.09*ruka



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*confeito*