◇ 負けられない闘いが、ここにある


普段の私ならば、そろそろ白旗を上げる頃だったが、今日ばかりは負けられない。
何故か太宰は、私が武装生徒会の面々以外の異性と出掛けることを良しとしないのだ。武装生徒会の面々と出掛ける際は、言わずもがな太宰も同伴だ。

直近で言うと、クラスメイトの男の子と仲の良い数人で、遊びに行こうという話が持ち上がった時のことだ。
太宰には特段話す必要も、義務もないから黙っていたのに、どこからか噂を聞きつけたらしかった。

計画を立てた次の日、その計画の中止を太宰から知らされたのだ。
なぜ知っているのか、なぜ中止なのか、その疑問は太宰に投げかけるだけ野暮というもの。

きっとまた太宰が迷惑をかけたに違いないと思い、計画を一緒に立てていた男の子に直ぐ電話をした。
あまりクラスメイトと遊びに行く機会がなかった為、私も楽しみにしていたのだ。
謝罪と、また今度新たに計画を立てようと、それだけ伝えようと電話をした。

が、電話口から聞こえてきたのは、定型文を読み上げる女性のアナウンスだった。

彼の携帯は不通になっていた。
前日に計画を立てていた時に聞いたばかりの、彼の電話番号が、だ。
着信を受けてから電話帳に登録したから、番号が間違っていることは有り得ない。
同時に、前日までは彼の携帯は不通ではなかったことの証明にもなった。

おかしい。
彼の身に何かあったのかもしれない。
嫌な予感しかしない。

しかし、彼の家までは知らなかったので、これ以上の確認はしようがなかった。
私は焦る気持ちを抱え込んで、次の日を待った。


2018.11.11*ruka



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*confeito*