◇ &青鯖さん


「中原くんごめん、お待」

ドンッ

言い終わる前に、突如として壁が出現し衝突。視界が暗転する。衝突はしたものの、弾き飛ばされるでもなく、突き飛ばすでもなく、包まれるという謎の状況下。
頭上から聞き慣れた声が降ってきた。

「やぁ、なまえ、奇遇だね。」

「な、なんでここに太宰が!ちょっ…離してよっ!」

奇遇!?
絶対嘘だ。
尾行或いは盗聴。そこまでするか?

兎に角解放してほしくて、ジタバタと暴れてみるが、すっぽり抱きかかえられてしまっていて、なかなか脱出できない。

「天気も良いし、デェトしようか、なまえ。」

優しげな声色も恐怖でしかない。今日の予定を潰しに来たのだ。
私の返事も待たず、私を抱きかかえたまま太宰は移動を開始した。
このままでは拙い。拉致られる…!

「本当にやめ」

必死に声を出して訴えていると、太宰が急に反対方向に引かれ、その手から解放された。

「なんで青鯖がここにいンだよ。」


2018.11.27*ruka



<<back


*confeito*