◇ 折衷案


結構力強く引かれていて手首も痛いし、苦しいくらいに太宰にも拘束されている。
周りからはヒソヒソ話と痛い視線を感じる…恥ずかし過ぎる。

「…二人とも、私から離れて下さい。」

少し怒気を含んだ声で言う。
楽しみにしていた分、今回は結構怒っています、私。という気持ちが伝わるように、太宰を睨む。
ちゃんと伝わった様子で、そろそろと私を拘束していた手が離れていく。次いで中原くんへも視線を向けると、パッと離してなぜかハンズアップ。
太宰に視線を戻してキツめの口調で言った。

「太宰、今日は私は中原くんとお出掛けします。邪魔するなら今後一切口をききません。」

「えっ」

太宰の反論は聞かず、中原くんを見る。

「ごめんなさい、今日は太宰も一緒でいいかな。」

「は、なんで俺が青鯖なんかと。」

「太宰はこの通り諦めないだろうし、日を改めてもいいけれど、結局これの繰り返しになって、永遠に借りは返せないままになるよ。」

二人とも頗る厭そうな表情をしていたが、にっこり笑顔でどうする、と問い掛ける。

「わかったよ、なまえがそう言うなら。」

「ちっ、仕様がねぇ。」

渋々了承した二人に笑顔を向けたら、少し大人しくなったみたいだ。漸く今日の目的地へ向かうことになった。


2018.12.07*ruka



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*confeito*