◇ 充分過ぎる理由


適当にごまかしつつ話題を変えてみた。

「そういえば、なんで水族館にしたの?」

深い意味はなく、軽い気持ちで中原くんに問い掛ける。すると、中原くんはどこか照れたように答えた。

「昼飯食ってる時、海月が好きだって言ってたろ。それだけだよ。」

この人は…何回私にイケメンと思われれば気が済むのだろう。自分ですら、いつ話したか忘れてしまった内容を覚えていてくれたなんて。

途中何回か、否。何回も、太宰と中原くんは些細な事で言い争いをしていたが、無事に目的地に到着した。
私を真ん中に置き、三人で館内を見て回る。
不思議な模様の魚に、色とりどりの珊瑚礁。外国に生息している生物なんかの展示もあった。

順路の通りに進んで行くと、ある看板を目にして、つい足を止めてしまった。
どうした、と中原くんが私に問い掛けながら、視線の先を見る。そこには"イルカショーはこちら♪"と、なんとも心躍る看板があった。


2018.12.09*ruka




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*confeito*