◆ 共同戦線


館内の順路に戻ると、例の大水槽の前に着いた。想像よりも大きな水槽で、大小様々な魚達が泳いでいて、いきなり心が折れそうになる。
右には苦笑いを浮かべる中原くん、左には顎に手を当てて真剣な表情の太宰。

「なまえ、君の為にはっきり言おう、諦め給え。」

ご尤もなんだけど、でも探す前から諦めるのは、癪だ。

「おもしれぇ……」

太宰と私が同時に右を向く。変な使命感に燃えた中原くんが笑う。

「太宰、手前と手を組むなんざ死ぬほど厭だが、ここは共同戦線といこうじゃねえか。」

太宰は深い深い溜息を吐くと、私を横目で見た。

「あーあ、矢っ張りこうなった。なまえが諦めると言ったら、こうはならなかったのに…
仕方がない、中也、向こうから見てって。上も勿論、岩や珊瑚の合間も確りね。
なまえはそこから全体的に見てて。」

太宰は私たちに指示を出すと、中原くんとは別の方向へ歩いて行った。

「うっせー、指図すんな!」

中原くんも文句を吐きつつ、指示通りに動く。少し奇妙な共同戦線が開始した。


2018.12.25*ruka



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*confeito*