◇ おそろい


太宰もこれの正体がよく解っていなかったらしく、私と中原くんが声を合わせてツッコミを入れる。
するとジャン!という効果音が聞こえてきそうなノリで、同じぬいぐるみの青バージョンをどこからか取り出し見せつける。
ウミヘビちゃんの首元を、片手で握り潰すように持っている為、ぬいぐるみながら非常に苦しそうで可哀想だ。
太宰は直もニコニコしながら、さも当然かのようにウミヘビちゃん(青)を自分の首に巻きつけ始めた。
よく目にする、その奴の行動は嫌な予感しかしなかった。

「これをこうして、この先にロープを結んでー、適当な木の枝に括りつければ、ねっ!」

何が「ねっ!」なのか不明だったが、嫌な予感は的中してしまった。
製作者もこんな使われ方をするとは考えもしなかっただろう。溜め息を吐きつつも、仕方ないので相手をしてやる。

「あまり聞きたくはないのだけれど、何に使う心算なの。」

私の質問に今日イチ瞳を輝かせて答える。

「このウミヘビちゃんを使って、私と心中しよう、なまえ!」

ウミヘビちゃんを使えば、首が痛くないだとか、見た目がメルヘンだとか意気揚々と説明する太宰。
抑も私は、太宰と心中する気は米粒ほどもない。

「けッ、趣味悪ぃ。死にたきゃ一人で死ね。」

不機嫌そうに中原くんが正論を吐き出す。大きく頷いて、同意を表明すると、本日何度目になるか解らない、太宰と中原くんの口喧嘩が始まる。私を挟んで言い合うものだから煩いし、とばっちりも喰う。
…このままではタイミングを逃してしまう。二人の喧嘩する声に負けないように、少し大きな声で言った。

「あの!実は、私も二人にお土産が…」


2019.01.02*ruka



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*confeito*