◆ 自己満足でもいいですか


尻窄みになった私の声でも、パタリと言い合いをやめた二人。一気に視線が私に注がれたので、大したものではないと付け加える。
パパッと渡して終わりにしようと思っていたのに、こんなに静かになられると緊張してしまう。

「へぇ、なまえからお土産が貰えるだなんて嬉しいな。」

太宰がハードルを上げる。余計なことを…
本当に大したものじゃないし、喜ばれるかどうか微妙だ。寧ろ、私の自己満足に付き合わせるようなものだ。

武装生徒会の皆に買ったお土産が入った袋から、手の平サイズの紙袋を取り出し二人に渡す。太宰は受け取るとお礼を言って、直ぐ様開封に取り掛かる。中原くんは袋ごと振って、なんだという表情。

「これは…キセキの魚だね。」

太宰の言葉に小さく頷く。私が買ったのはキセキの魚のキーホルダーだった。
もう一つ、土産袋からキーホルダーを取り出す。
私がピンク、太宰が蒼、中原くんが紅。

「色違いでお揃いにしてみたんだけど…
どこかに付けなくてもいいから、できたら持っててほしいな。」

二人の反応が少し薄く感じられたので、俯きがちになってしまった。
目線だけ上げて見ると、二人とも優しい笑顔をしていた。


2019.01.05*ruka



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*confeito*