◆ 四限目


公民の教科書を開くと、一枚の紙切れがはらりと落ちた。
そういえばこの前、太宰に教科書を貸してあげたんだっけ。
太宰の忘れ物かと思い、紙を拾い上げる。
するとそれは奴からの恋文のようなものだった。

"ようなもの"と表現したのは、内容だけ見たら、とても恋文とは思えないものだからだ。
例えば…

「なまえ、君と心中する日を想い描くと、胸が張り裂けそうになるよ。」

こんな文をもらって、一体誰が喜ぶというのだろう。
…いや、あの容姿のおかげで隠れファンがいるのは知っているけれど、そのファンの子達にあげたら喜ぶかもな。
生憎、私は毛ほども嬉しくはないし、抑も自殺する気も、まして太宰と心中する気もない。

よって、この紙切れは屑箱行き決定だ。
それにしても、綺麗な字だな。
色々と書いてあったが、全文を読む気にはなれず、躊躇なくくしゃくしゃに丸めた。


2018.10.05*ruka



<<back


*confeito*