◇ お昼休み


お昼は持参したお弁当を、クラスメイトや生徒会の面々と楽しく食す。
今日は誰と食べようか。

チラリと視線を前に向ける。
中原くんはどうするんだろう。
お弁当持ってきてるのかな。
購買に行くのかな。
不良っぽいから矢っ張り、屋上に行くのかな。
話しかけてみようかと思った。
その瞬間。

教室の扉が勢いよく開かれる。
それはもう、壊れるんじゃないかと思うくらい。
嫌な予感しかしなかったので、敢えてそちらを見なかった。

「なまえ、大変だよ!なまえが作ってくれた、私の分のお弁当が見当たらないんだ!」

「そんなもん最初からこの世には存在しません。」

嫌な予感的中。
頭を抱えて冷静に返す。
購買に行けと言おうとする私より早く、中原くんがこれまた勢いよく立ち上がる。

「クソ太宰…!」

「ゲッ、なんで中也がここにいるの。」

太宰が心底嫌そうな顔をする。
なにやら面倒くさそうな予感。
これは早々にこの場を離れた方がよさそうだ。

そそくさとお弁当を持って席を立つ。

「手前ぇ、太宰とどういう関係だ。」

文字通り中原くんに首根っこを掴まれる。
脱出失敗。

嗚呼、厄介事に巻き込まれる体質なのだろうか。
それとも太宰と関わりを持ってしまったからなのだろうか。
後者だと信じたい。


2018.10.06*ruka



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*confeito*