◆ もう一人の人気者
教室の前には人だかりができていた。
太宰の教室で見る光景である。でもここは太宰の教室ではない。
去年は至って平和だったのに、一体何故…と、ここで、去年との違いに気付いた。
成程、確かに彼も人気者だった。
なんてついていないのだろう、人気者の真後ろの席だなんて。
乙女達を掻き分けてなんとか教室へ入ると、驚愕の光景を目にした。
まだ登校していないのだろう。
私の一つ前の席の引き出しからは多くの猪口冷糖と思われる包みが溢れ、椅子・机上にも塔の様に積まれていた。
これは…もはや嫌がらせの域なのでは?
思わず引き攣り笑いをして、取り敢えず無事であった自席を少し後ろに引き距離を取る。
これ、本人が来たらどんな反応するのだろう。
慣れてるから、別になんとも思わないのかな。
太宰の教室以外でこんなにざわついている教室もここくらいだろう。
遠巻きに冷めたような、羨望のような視線を送る男子達がなんとも哀れである。
私は密かに中原くんの第一声を予想して楽しんでいた。
2019.02.02*ruka
前 ◆ 続
<<back
*confeito*