◇ 乙女の気持ち


ホームルームが始まり、漸くいつもの静けさを取り戻した教室には、悲惨な状態のままで主を待つ机があった。
先生が出欠をとった際に、中原くんの席を二度見どころか、三度見していた。
それほどまでに異様な惨状である。太宰もこんな感じなのかな。
モテ過ぎる人達って大変だなぁ。お返しとか、どうしてるんだろう。
私がどうでも良い事を考えているうちにホームルームが終わった。

そしてまた一限までの少しの時間を狙って、乙女達が教室に集まってきた。
中原くんはまだ登校してこない。
真逆、休み?だとしたら、この猪口冷糖の山はどうすればいいのだろう。
甘いものが好きな私は、一つくらいなら拝借しても絶対バレないだろうと涎を啜った。
でもこの一つ一つが乙女達の気持ちなのだから、そんな事できる筈がない。
小さく溜め息を吐くと、一限目の始まりを告げる音が響き、乙女達は落胆しつつ各々の教室へと帰って行った。


2019.02.03*ruka



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*confeito*