◆ お昼休み 2


場所を屋上へと移す太宰と中原くん。
と、何故か私も連行された。

そして今、太宰が後ろから私に抱きついている。
否、拘束している謎の状況。
お弁当を食べたいんですが。

「太宰、放してよ。」

「駄目だよ!また中也に痴漢されるよ!」

「しねぇよ、つかしてねぇ!」

何、このコントみたいな遣り取り。
巻き込まないで頂きたい。

然し、こういう時は諦めが肝心。
太宰に絡まれるようになってから学んだ事。
溜め息を吐いて、太宰を引きずりながら近くの段差に座る。
太宰は大人しく私の隣に腰を落とした。

お弁当の包みを解き、両手を合わせてお弁当を食べ始める。
中原くんも少し離れて段差に腰を下ろし、コンビニ袋から牛乳とパンを取り出し食べ始めた。
牛乳…身長の事を気にしているのだろうか。
そんなことを聞いたら殺されかねない為、私は口を噤んだ。
が、この男はそれを承知で敢えて突っ込む。

「今更牛乳飲んだところで、もう身長は伸びないと思うよ、ちびっこ中也。」

中原くんのパンが潰れた。
今のは太宰が悪い。何故私の影に隠れる太宰。
今にも殺されそうなぐらい、鋭い視線を向けられる。
私の後ろに隠れている太宰にだろうが、私に直に注がれている気分になる。

「太宰、謝りなよ。あと人を盾にしないで。」

「謝る?私が?中也に?何故?
そんなことより、その美味しそうな玉子焼きで空腹を満たしたいのだけれど。」

此奴…。
呆れつつもウインナーが刺さっていたピックを取り外し、ご所望の玉子焼きを突き刺し手渡すと、信じられないという表情が返ってきた。
おかしいでしょう。
太宰にやらなくてもいい私のお弁当を分け与え、要望通りのものを差し出しているというのに。

「違うよなまえ、あーんってして。」


2018.10.07*ruka



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*confeito*