◇ 矢ッ張り気になる


教室に戻ると、ぐったりとした中原くんが猪口冷糖に埋もれていた。
なんか睨まれた気がする…。

「よぉ、何処で飯食ってたんだよ。」

私はにやりとした表情を返す。

「秘密。それにしても凄い数だねぇ、太宰とどっちが多いかな。」

ちらりと中原くんを見ると、小さく溜め息を吐かれた。

「誰かと競うモンじゃねえだろ、こういうのは。何個貰ったかよりも、"誰に貰ったか"が重要だろ。」

意外と大人な中原くんに、確かにとだけ答えてそれ以上は何も言わなかった。



放課後も乙女の波は留まるどころか益々勢いを増して押し寄せた。
このままでは波にのまれてしまいそうなので、早々に武装生徒会室へ避難しよう。
私が慌ただしく準備をしていると、中原くんが此方を見ている気がして視線を向けると目が合った。

「なに?」

「…別に。」

あれ、なんか機嫌悪い?
そりゃ疲れているよね、あれだけ確りした対応を全員にしているのだもの。
ちょっとだけ不憫だ。

「頑張ってね!」

取り敢えずエールを送り、教室を後にした。


2019.02.06*ruka



<<back


*confeito*