◆ 不公平


武装生徒会室前に着くと、扉に見慣れない貼紙がしてあった。

「"関係者以外の立ち入りを禁ず"…?成程ね。」

がらりと扉を開き入室する。電気はついていなかった。
普通ならば私が一番に到着したのだろうかと思うところだが、今日だけは違う。
中へ歩を進めると、自席で居眠りをしている人物が目に入る。
周りには無数の猪口冷糖が散らばっている。
女性好きだけど、今日みたいな日は流石の太宰も嫌気がさしたのだろう。
いつから此処で身を隠しているのかは不明だが、小休止といったところか。

「太宰?」

名前を呼んで近付いてみたが、起きる気配がない。
相当疲れたのだろう。太宰も中原くん同様、女性を邪険には扱わないだろうから。
私は隣の自席に座り、そっと太宰の頭を撫でた。

「お疲れ様、人気者は辛いね。」

小さい声で言うと、私の手に擦り寄ってきた。
ちょっと可愛いけれど、起こすのも気が引けたので、ゆっくり手を放す。
寝ている太宰を見るのは久々で、顔だけは本当に整っているなぁと思う。
頬杖を突きながらじっくり観察してみる。肌が白くて綺麗。
なんか悔しい。ちょっと触るくらいなら起きない、かな。
私は眠る太宰の頬に手を伸ばし、少しだけ指を滑らせる。
すべすべだ。
何か特別なお手入れをしているとも思えないし、神からの授かり物だとしたら不公平を訴えたい。
覗き込む様にして至近距離で眺めていると、薄く太宰の瞼が開かれた。


2019.02.06*ruka



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*confeito*