◆ ちゃんとありますよ


「乱歩さんも沢山貰ったんですね。」

私は乱歩さんに駆け寄り、溢れ落ちそうになっているお菓子を支えた。

「なまえも僕にくれるんだろう。」

「ふふ、勿論ですよ。受け取ってくれますか?」

満足そうに了承する乱歩さんが着席してから、生徒会メンバー用の袋から一つ猪口冷糖を取り出し乱歩さんへと手渡す。
直ぐさま開封に取り掛かる乱歩さんに少し笑ってから、更に二つ袋から取り出した。

「はい、敦くんに賢治くん。私からのヴァレンタインだよ。」

二人とも目を輝かせて喜んでくれた。頑張って作った甲斐があった。
と、ここでもう一人からの痛過ぎる視線に気付く。

「太宰はそれ以上食べたら、ぶくぶくに太って糖尿病になっちゃうよ。」

「今日は随分と意地悪だね、なまえ。嫉妬かい?それならば、これらは全て捨てるとしよう。」

即答された。嬉しいような、乙女達に申し訳ないような気持ちで苦笑いをして、冗談だよと太宰にも一つ、手作り猪口冷糖を手渡した。

「有り難う。御礼に一緒にしんじゅ」

「あ、与謝野さん!はい、私の気持ちです!」

「おや、嬉しいねぇ。たっぷり可愛がってあげるよ、なまえ。」

太宰を無視して、入室してきた与謝野さんに駆け寄り猪口冷糖を渡すと、妖艶に抱き締められ笑顔で悲鳴を上げた。


2019.02.08*ruka



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*confeito*