◆ 義理か本命か


中原くんは動きを止めて、解り易く動揺していた。
本命の子に貰えたってこと、なのかな。
すると中原くんと目が合い、また解り易く全力で逸らされた。
太宰が震えていると思ったら、大笑いをし始めた。

「それは目出度いね!今日はその猪口冷糖の味を噛み締めて幸せに浸るといいよ。
私はこれからなまえと一緒に、なまえの部屋で猪口冷糖を食べるけれどね。」

中原くんが太宰を厳しく睨み付ける。
太宰の言い方が悪い。

「あ、あの、太宰一人では食べきれない量だから、私が分けて貰うだけなの。変な誤解しないでね。」

両手を振って補足する。
太宰は私を拘束する手の力を強めたかと思うと、引き摺られ強制的に退室させられる。

「ほらほら、敦くん達も待たせているのだから行くよ。
そうだなまえ、棒状の猪口冷糖もあったから、両端から同時に食べるやつやろう。」

「やんないよっ!中原くん、またね!」

引き摺られつつも手を振り挨拶をしたら、中原くんは目を合わせずに手だけ上げてくれた。


2019.02.13*ruka



<<back


*confeito*