◇ どうしてもしたい事


武装生徒会の皆と合流し、帰路に着いた。太宰は宣言通り私の家に立ち寄る。
そして数々の乙女達が決死の想いで渡したであろう猪口冷糖たちが、太宰の鞄から取り出される。

「本当、凄い数だねぇ…これの他にも国木田先生に没収されたものがあるんでしょう。」

私の部屋の小さな円卓は、早々に猪口冷糖で盤面が見えなくなってしまった。
太宰がにこにこしながら此方を見ている。

「好きなものを食べていいよ。あ、でも先ずはこれだよね。」

楽しそうに一つの猪口冷糖を取り出すと、はい、と私の口に差し込む。
すると、すかさず太宰が反対側からそれに齧り付いた。
帰りに言っていた棒状の猪口冷糖を両端から同時に食べるという、あれだ。
太宰が食べ進めようとしたので、私は至極簡単な方法で回避した。

ポキンッ

「あぁ!なんで折っちゃうのさ!」

信じられないという表情を向けられながら、もぐもぐと咀嚼する。
美味しいねと他の猪口冷糖に手を伸ばすと、その手を掴まれ阻止された。

「食べちゃ駄目なのがあるの?さっき好きなの食べていいって」

「言ったよ。」

「あ、もしかして本命からもらったやつを取り忘れたとか?言ってくれればそれは食べないよ。」

「…私がそんな愚図に見えるかい。」

太宰は真剣な表情になって軽く息を吐いた。

「それとも、解っていて言っているのなら、なまえは意地悪だね。」

少し哀し気に笑うと、私の頬に触れた。

2019.02.14*ruka



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*confeito*