◇ 高再現度
「できた!」
先に声を上げたのはなまえだった。
なまえの手には可愛らしい雪兎が乗っていた。
「私も出来たよ。」
続いて太宰が楽しそうに雪達磨を持ち上げた。
他の三体よりも大分小ぶりなそれは、目つきの悪い彼を模したものだった。
「それ、中原くん?」
「ふふふ。さ、これも並べよう。」
太宰は言葉にしなかったが、それが答えである。
他の雪達磨が並ぶ塀上に乗せると、一際小ささが目立った。
「中原くんが見たら怒るんじゃない?」
「どうして?忠実に再現出来ているじゃあないか。」
確信犯だ。なまえは些か中原を不憫に思うも、可愛いとも思ったのでその隣に雪兎を並べて置いた。
2019.03.05*ruka
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*confeito*