◆ 足跡が続く先
なまえは並べられた雪達磨と雪兎を満足気に眺めた後、両手を擦り合わせて息を吹きかける。
素手で雪を触っていた為、氷の様に冷たくなっていた。
「なまえ、手をかしてごらん。」
言われた通り手を差し出すと、太宰はそれを両手ですっぽり覆った。
太宰の手自体は同様に冷たかったが、中心には確かな熱があった。
その熱をなまえに握らせると太宰は手を放し、自分の手は外套のポケットに突っ込んだ。
なまえが手を開くと携帯カイロがあった。
「これは太宰が使いなよ、大丈夫だから。」
なまえは返そうと携帯カイロを差し出すと、太宰はじゃあと言って何故か外套の釦を外し始めた。
「え、何、なんで脱ごうとしてるの。」
「だってなまえが携帯カイロでは暖まらないというのなら、私の人肌で暖めてあげる他ないじゃない。」
なまえは脱ぎかけている太宰の外套を着せ直し、釦を留めてやる。
「ありがとう、携帯カイロ借りるね。」
「ふふ、恥ずかしがらなくても良いのに。さ、学び舎へ行こうじゃないか。」
雪の上に二つの足跡が平行して続いていく。
「ねぇ、雪の上に寝たら気持ち佳さそうだよね。」
一つはふらふらと曲がりながらも、確かに学び舎へと続いていった。
2019.03.06*ruka
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*confeito*