◇ 小さな雪達磨
「ちっ、歩き辛ぇな……」
誰に向けられたものでもない文句を呟き、外套のポケットに両手を突っ込む中原。
寒そうに身を強張らせ、雪が積もった通学路を歩く。
「あーー寒ィ……こんな日に授業とかやってらんねェぜ。」
文句を吐きつつも雪道を一歩一歩進んで行く。
マフラーに顔を埋めながら歩いていると、民家の塀上にあるものを見つけた。
「ん?雪達磨か……」
四体並んだそれは、それぞれ違う風貌であり、見たことがある人物に似ていた。
特段気にせず横目で見ながら通り過ぎようとした中原だったが、一つだけ極端に小さな雪達磨が目につき、途端にその前に戻る。
「こんなモンを作る奴は一人しか居ねぇ…!!」
それが誰を模したものなのか、そして誰が作ったのか一目見ただけで理解した中原の血圧は急上昇する。
と、その傍らに更に小さな陰が目に入った。
「雪兎…これは、太宰じゃねェな。」
微笑んだのも束の間、中原は鬼の形相で学校へ雪道を駆けて行った。
2019.03.07*ruka
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*confeito*