◆ めでたのは、白


「敦くん、可愛い!」

敦くんに三つ編みをさせてもらい、一人で盛り上がっていた。
恥じらい薄く染まる頬がなお良い。
でもその表情は困惑しているようだった。

「あ、ごめん…矢っ張り敦くんも、可愛いは厭だった?」

「え…僕"も"……?」

三つ編みをした毛先を掴んだまま、口では申し訳なさそうに言うと、敦くんは意外なところに反応を示した。

「うん、芥川くんに『男に可愛いは褒め言葉ではない』って怒られちゃって。」

何故か敦くんは眉を顰めて私の肩を掴む。
反動で掴んでいた毛先を手放してしまった。

「僕は、なまえさんに貰う褒め言葉なら、どんな言葉でも嬉しいです。」

あまりに必死な表情をするものだから、呆気に取られてしまう。

「そ、そう。ありがとう。」

私が力なく返すと、敦くんは我に返ったように、慌てて肩から手を離しワタワタし始める。

「わわっ、すみません!痛くなかったですか?」

「大丈夫。その代わり、ね?」

にっこり微笑んで、ほとんど解けてしまった三つ編みを指差した。


2019.04.15*ruka



<<back


*confeito*