◆ ごめんで済めばいいけれど


教室に戻ると、確かにカーテンが揺れていた。
そして、揺れるカーテンのすぐ横の机に突っ伏す人影が目に入る。

「あれ、まだ寝てたんだ。」

気持ちよさそうに眠る中原くんが居た。
この人、六限目からずっと寝っぱなしだ。
誰か起こすだろうと思い、放置しておいたが…どうやら、誰も起こさなかったらしい。
意外と薄情なクラスメイトだな、私含め。
中原くんの前に立ち、からからと窓を閉める。
チラリと視線をやる。
夕陽色の髪の毛がキラキラしていて綺麗だった。

「中原くーん、もう放課後だよー。帰らないのー?」

一応声を掛けてみる。反応はない。
私は中原くんの前の席の椅子を静かに引き、そこに座った。
そっと髪に触れて、すぐに手を引っ込める。
誰かに見られていないか、周りをキョロキョロと見渡す。
静かだ。
誰も居ない。
再び眠る中原くんに視線を戻し、手を伸ばす。
今度は適当に髪を掬い束にする。
さっき敦くんに出来なかった、編み込みをやってみようと思う。
然し、向かい側からでは凄くやり難い。
一度手を離し、隣に移動する。
三度触れた時は、流石にぴくりと反応したが、それ以上はなく、目は覚まさなかった。
手早くやってしまおう。


2019.04.19*ruka



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*confeito*