初療室に患者が運ばれ、慌ただしい雰囲気になる。
冴「宮本 望海さん、17歳。呼吸、循環共に落ち着いています。」
藍「移すぞ。」
「「『1・2・3っ!!』」」
冴「妊娠15週です。」
藤「妊娠!?」
藤川は“妊娠”の言葉に動揺する。
17歳の妊娠に動揺したのか、はたまた別の何かなのか……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
藍沢が患者に聴診器を当てる頃、気分悪そうにしてる横峯に白石が声をかけた。
藍「乗り物酔いする奴が、フライトドクターになろうとか、どうかしてんな。」
白「ファーストミッションで緊張するのは当り前よ。どうして、そんな言い方するかな。」
藍「足関節の開放骨折だ。洗浄の準備。」
雪村が藍沢の指示を受け、洗浄準備に取り掛かっている。
白「聞いてないし。」
『…白石先生。今そのやり取りは必要ですか?』
緋/藤「「!?」」
神崎が白石に指摘をしてことで、緋山と藤川は驚きを隠せず、目を見合わせた。白石も納得できないという顔をしたが、冷静に考えれば、今すべきことじゃないことに気づき治療に専念している。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
藤「いやぁ、藍沢と神崎が来てからの救命、空気悪すぎ。だから反対したんだよ。あいつ戻すこと。」
緋「あんた、大賛成だったじゃん。」
『……』
二人は既にこの医局内に、神崎がいることを知らない。
藤「そうだっけ?」
緋「まぁ、白石の生真面目もどうかと思うよ?フェローなんて罵倒されて育つんだからさ、藍沢なんかほっとけばいいんだよ。」
『私も緋山先生に賛成です。』
緋/藤「「へっ!?いつからいた?」」
『お二人より早く医局にいましたよー。よって、すべて話聞かせてもらいました。藍沢先生も不器用ですからねー。彼は彼なりにフェローを育てようとしてるんだと思うけど。』
緋「なんか、藍沢の事知った感じだね。」
『ん〜。9年間離れてた中で彼がすごく丸くなったことは理解できます。私が彼と知り合ったときは、1匹狼でしたし。医者になってもチームワークって言葉知ってるか?って言いたくなるくらいでしたから(笑)あ、ちなみに高校・大学の同級生です。』
緋「そうなんだ。てか、藍沢の同級生ならうちらともタメでしょ?もっと楽に話そう!ね、藤川。」
藤「そうだな。楽にやろうぜ。てか、昔からの知った仲なら、もう少しうまくやるように言ってくれよ。」
『じゃ、お言葉に甘えて。でも、私は藍沢先生の指導法に口は挟まないよ?ま、行き過ぎたときは怒るかもね。』
バンッ!
白「だから、もう少し言い方があるんじゃないのって言ってるの。あんな言い方して横峯さんが辞めるなんて言い出したらどうするの?」
藍「あの程度で辞めるなら早い方がいい。」
白「フェローは大事に育てなきゃいけないの。うちの人手不足を解消するには彼らを一人前にするしかないんだから。」
藍「ふっ。それで治療が遅れたらどうする。あいつらを指導してたので死にましたって患者の家族に説明するのか?」
白「じゃあ、初めから優秀な若手を連れてきてよ。できないでしょ?救命は今のメンバーでベストを尽くすしかないの。とにかく。その、人を突き放すような言い方はやめて。」
藍「俺は、頼まれて救命に来ただけだ。」
『ふ〜ん。頼まれたから来たんだ(笑)』
藍「……」
神崎の一言で黙る藍沢。
そして、相変わらずの挑発顔の神崎。それを、離れたところで見ていた緋山と藤川の中では、神崎を敵に回してはいけないと感じた。