Marguerite

2つの証拠写真

 
(電気通信工学論、熱帯雨林破壊報告、大学制度の歴史、岩盤破壊音の分析…)

図書室に出しっぱなしになっていたという本を一冊一冊探して手に取る。どうせコナン君のことだ。後から絶対この本を見てみようって言うに決まっている。確かうっすらと残る記憶でもコナン君がそんなことを言っていたような気がする。
貸出カードを見てみれば、そこにある名前はほとんど保坂先輩の名前だった。

「呉羽姉ちゃん、本探してたの?」
「あ、コナン君。ん、見かけない本だったなって思ってね」

見る?なんて聞いてコナン君に渡せば、コナン君はそれを図書室の机の上に置いた。

「本当ね。四冊とも、あまり見かけない変わった本ばかり…」
「それもそのはず…。ホラ、見てよ!この図書貸出カード!」

並べられた図書カード。確かにこんな本を借りるのはよっぽどそういうことが気になるとかでもない限り無いだろう。すると、塚本先輩が保坂先輩はマンガ家志望で面白い話を描くには人が知らない色々な事を頭に入れておけば役に立つと言っていたことを教えてくれた。

(それにしても、色々過ぎるような気はするけれどね…)

保坂先輩はいったいどんなマンガを描こうとしていたのだろうか。それを読むことは叶わなくなってしまったけれど、こんなにいろいろな知識を持って描いたマンガが気になると思ったのは私だけではないと思いたい。

「呉羽姉ちゃん、校長室に行くよ?」
「あ、うん…。や、待って。ちょっと気になることあるから、後から合流するよ」
「何か気になることでもあった?」
「んー…ちょっと。大丈夫、ちゃんと確認したらコナン君にも言うから」

ついでに本も片付けとくよ。そう言って、塚本先輩の話を聞いて校長室に向かおうとする四人を見送った。

 + + +

(確かコナン君、スリッパのまま外に出るんだよなー…)

私の中で、コナン君がやけに蘭ちゃんに抱っこされていた記憶だけがハッキリと残っている。貸し出しているスリッパを汚すなと言いたくなるけれどコナン君なのでそう強く言えないなら先に証拠を掴んでおこうと思っての行動だ。

「多分この辺りに……あ、あった」

地面を見ながら歩いていたら、不自然に残る一本の線。その線を見つけて、思わず口角を上げる。ポケットから携帯を取り出して、念のためその一本の線を写真に撮っておく。何か言われたらそれを証拠として見せればいいし、何もなければ後日消せばいい。

(さすがに傘は無理だよなぁ…)

まさか世古先輩本人にコレ貴方の傘ですか?なんて直接聞くのは無理だ。こんな幽霊騒動をするぐらいだからそれなりに頭は回るだろうし、警戒もしているだろう。やっぱり傘は直接全員呼び出したときにするしかない。
ついでに、スノコの水の跡も携帯で写真を撮っておく。コレはコナン君も見るだろうけれど、念のためだ。とりあえず証拠になりそうな2つの写真を撮ったところで、みんなと合流しようとしたとき、手に持っていた携帯が震えた。

「げっ……」

携帯の画面に表示された名前は、秀一さん。そういえば今日帰るのいつもより早いとか言っていたような気がしなくもない、と今更になって思い出す。幽霊騒動に巻き込まれてついつい学校に残っていたけれど、放課後になってから結構な時間が経っている。いつもならとっくに帰ってきている人間が帰ってきていなければ電話するのも仕方がないだろう。覚悟を決める為に一度大きく息を吐いて、私は携帯を通話に切り替えた。

2016.02.28
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