「すみませんまだ学校です帰ってないです夕飯も何もしていないです…」
通話に切り替えて、秀一さんに問われる前に言葉を並べた。辺りは結構暗くなり始めていて、今からドタバタ帰って夕飯の準備をしても結構遅くなってしまうだろう。いっそ何か買って帰ろうか、と思っていると無事なんだな、と確認するように尋ねられた。
「無事っていうか…はい。学校なので事件とかじゃないです。すみません…」
無事ならいい、と少し息を吐きながら秀一さんに言われる。そして、あとどれ位で帰るかを尋ねられる。恐らくコナン君たちは校長室と保健室に行っているからそろそろコナン君は走ってこの中庭に戻ってくるだろう。そこから推理ショーとなったら30分から1時間ぐらいだろうか。
私が秀一さんにそう告げれば、じゃあ迎えに行くから門にいろ、とだけ言われて通話が切られる。
「え、迎えに……?」
携帯の画面を見ながら、思わず呟く。時間が遅いから、だろうか。と言ってもこの前みたいに通り魔がいるとかそういうことはなかったと思うけれど。私は首をかしげながら、携帯をポケットに入れた。
+ + +
「はいストップ。スリッパのまま外に行かない」
「呉羽っ…の、姉ちゃん…」
「取って付けなくていいから。傘引きずった跡ならあったよ」
スノコの上から走って中庭に行こうとしていたコナン君の首根っこを捕まえて阻止する。よし、スリッパは無事だ。コナン君に携帯の画面を見せれば、画面を確認してニヤリと笑った。
「オメー、証拠を出すのにいい考えあるか?」
「無いね。強引にした方がいいと思うけど」
携帯の画面を見ながら、毛利さんと鈴木さんに聞こえないように話して、顔を見合わせる。コナン君の言う証拠は、普通に言っても言い逃げが出来る。だから。
「ねえ、みんなで美術室の前で待っててくれない?ボクと呉羽姉ちゃん、犯人を割り出す方法を思いついちゃったんだ!!」
待て少年。何故私も入っている。
+ + +
「で、なんで私まで巻き込まれてるの?」
「そんな怒るなよ…」
「怒りたくもなるって。何、もしかして私に探偵役やらせるつもり?」
「それいいな」
先輩たちに声をかけて、私とコナン君は美術室の方へと戻る。コナン君の言葉に、私が頭を抱えた。やってしまった。彼は多分そんな考え全く無くて、今の私の言葉でそれを思いついたようだ。私が言わなければ原作通り鈴木さんが推理をしたということだろうか。解せぬ。
「私人前でそんなペラペラ話すの好きじゃないんだけど」
「人前って言っても6人だろ」
「十分多いよ。初対面の人が3人だよ?新出先生だって初めましてみたいなものだし」
毛利さんも鈴木さんもそういえばあんまり話したことないだよな、と思いつつコナン君と話す。いっそこうなったらフェイク着信でもして逃げるか。
2人で話しながら美術室前へと行けば、待っていて、と言われたから三人が待っていた。
「あ、来た来た!」
「どこに行ってたんだい?」
「うん、ちょっと…」
多分、そんなに経たずに先輩たちは来るだろう。コナン君は容赦なく美術室を開けて、先輩に帰り支度をしているか尋ねる。すると、少し不審そうにはしつつも帰り支度をしていることを教えてくれた。
「オウ!邪魔するぜ…」
「せ、世古!?何でここに?」
突然聞こえてきた声に振り向けば、そこには世古先輩がいた。保健室から帰り支度をしてここに来た彼は、傘を机に立てかけながら話す。すると、さらにそこに塚本先輩がやって来た。
私とコナン君が呼び出した三人が、美術室に揃った。
2016.03.02
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