「灰原!わかるか!?DJって誰なんだ!?」
「え?」
「エディPってどこなんだよ!?奴らが言ってたんだ!何かの暗号なんだろ?」
工藤君が私達を見ながら、焦ったように哀ちゃんに尋ねる。哀ちゃんはDJは分からないけれどエディPは駐車場か公園じゃないか、とのことだ。続けるように、工藤君はキャンティとコルンが誰かを聞いた。
(うわ、懐かしい…)
というかあの二人ってこのぐらいから出て来始めたんだっけ、と改めて時の流れを感じる。私が時の流れ、というと何か変な感じもするけれど。
工藤君は追跡眼鏡を起動させて、窓の外を見る。そして目的地を見つけたのか突然車の扉を開けて外へ出る。刹那。
「そこまでよ!」
工藤君の額に布越しに向けられたソレに、彼が怯む。冷静に考えれば声で分かるのだけれど、工藤君は気づかなかったのかバッ、と顔を上げる。けれど、そこにいるのはジョディさんだった。
「ダン♪」
「ジョ、ジョディ先生?」
「Hi!!」
携帯を拳銃に見せていただけのジョディさんは、楽しげに工藤君を見る。ジョディさんも水無さんには目をつけていたらしく、彼女を張り込んでいたら毛利探偵たちが彼女の部屋に入ってくるのを見たらしい。が、事件は結局子どものイタズラ。張り込みを解除しようとした矢先に工藤君が怖い顔をしていたから追跡を再開したらしい。
(やっぱり、秀一さんは私を巻き込みたくなかったんだろうなぁ…)
今のところ、秀一さんから水無さんの話は聞かされていない。勿論、私も彼女の話を秀一さんにしたことはないのだけれど。秀一さんからすれば私は一般人だし、何より組織を狙われる身だ。仕方のないことなのだろう。多分、私が言うことを聞かずにチョロチョロしちゃうこともある気がするけれど。
扉の外で離すコナン君とジョディさんを見ながら、ため息をつく。というか今コナン君たちが話しているのは車線なのだけれどいいのだろうか。交通量が多いわけではないから大丈夫だろうけれど追い越そうとする車からすれば邪魔そうだ。そんなことを思っていると、コナン君がジョディさんの腕を掴んで車に引き入れる。咄嗟に私が哀ちゃんを膝に抱えれば、少し窮屈だけれど後部座席に並んで座る。
「って、呉羽!?貴方なにしてるのよ!?」
「成り行き?えっと…秀一さんには内緒でお願いします」
また怒られちゃうから、と人差し指を立てて言えば、仕方ないわねぇ、と呆れるように言った。そして水無さんの車が通りすぎて、ジョディさんは電話へと意識を切り替える。
「ジンの車は別の道みたいね」
「あぁ…」
「ワ、ワシらも追うのか?」
「いや…このまま闇雲に追っても後手後手に回るだけだ…。尾行に気づかれたら洒落にならねーし…」
エディPのエディはエドワードの略称だっただろうか。うろ覚えの記憶を手繰り寄せて、考える。ジキルとハイドに出てくるハイドのファーストネームだった筈。
私が考えていると、コナン君がジョディさんにインタビューする彼らのことを尋ねる。一人目は薬学部教授、二人目は人気俳優、三人目は元自衛隊幹部。
「でも彼女が何時にどこ誰にインタビューするかは聞き出せなかったわ…。彼女とTVクルーに任せてあるからって…。もしかしたらアポなしのインタビューなのかも…」
「…となるとそのTVクルーも奴らの仲間の可能性が高いな…」
「しかし三人共イニシャルはDJじゃないしのォ…」
せめて場所が分かれば、という阿笠博士に、哀ちゃんがDJって普通ディスクジョッキーのことよね?と言った。ジョディさんが補足するようにレコードを次々に取り替えながら曲を書ける様子をレコード盤を乗りこなす競馬騎手になぞらえた所からきている、そしてその三人の誰かが音楽やギャンブルにはまってるなんて情報は入ってないと言ったとき、コナン君が顔を上げる。
(この後は杯戸公園に向かって、その後探偵事務所…)
時間を確認して、息を飲む。失敗しないことを祈りながら、膝の上に座る哀ちゃんを抱き寄せた。
2016.06.02
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