身体が、熱いと思った。ぼんやりとする意識の中で身体を起こして、息を吐く。妙に火照った身体で辺りを見回してもこの部屋に時計は無い。窓さえもないこの空間では時間も分からず、長時間いたら体内時計が狂ってくるのかもしれない。
「見張りも、いない……?」
部屋には私一人しかおらず、意識が飛ぶ前まえ確かに扉のところにいた監視の人はいない。ベッドから抜けだして、扉へと歩み寄る。鍵を、かけ忘れてくれていないだろうか。そんな些細な期待を込めて。
(あ……)
ガチャリ、と扉は支える音がした。それは、鍵がかかっているということだ。この部屋から出ることは叶わない。
小さく息を吐いて、その場にしゃがみ込む。妙に身体が熱くてクラクラするけれど、熱でも出たのだろうか。額に手を当ててみるけれど、手の体温も高くてイマイチ分からない。刹那。
「おはようございます。と言っても、まだ3時ですが」
「っ……!」
扉が開いて、憎たらしくもあるあの男が私を見下ろす。睨みつけるように見るけれど、それよりも身体の方がおかしい。妙に、熱い。体温が高いのとも、違う熱さな気がしてきた。
「あぁ、効いてきたんですね。熱いでしょう?」
「離し、て…!」
「大丈夫ですよ。すぐに、楽になります」
「きゃっ…!」
抱え上げられて、ベッドへと連れて行かれる。そのままベッドに降ろされて、逃げようともがくけれど両腕を頭上でシーツへ押さえ付けられて背中がゾクリと震える。
――逃げなきゃ
そう思って押さえ付けられた身体でもがくけれど力では敵わなくて。脚をバタバタと動かしても、男は気にした様子もなく容赦なく私の首筋に触れる。
「やだっ…!」
「すぐに、そんなことも言えなくなりますよ」
「っ、ぁ…!やだ、」
シュルリ、と男のネクタイが外されて。そのネクタイで腕を縛り上げられる。秀一さんのときには感じなかった、恐怖心。
男は服と肌あの間に手を滑り込ませて、胸の膨らみに触れる。気持ち、悪い。身体に触れるその手が、とてつもなく気持ち悪く感じる。
「あの男は随分と貴方を大事にしてきたみたいですが……まさか、処女なんてことなはいでしょう?」
「やっ…やだ、やめて…!」
「大丈夫ですよ、痛くはしませんから」
「っ!!」
男の手が、直接膨らみに触れる。服と下着をたくし上げられて、身体が露わになる。もがいて抵抗したくてもほとんど出来なくて、男が触れる度に私の身体がビクリと跳ねる。
「お望みなら、教えていただければあの男と同じように抱きますよ」
「誰が、そんなことっ……ゃっ、」
男の片方の手が、私の中心に布越しで触れる。スカートをたくし上げられて、慣れた手つきで触れてくるそれに寒気がする。秀一さんにされるのと、全然ちがう感覚。ただ、気持ち悪くて仕方がない。
「あの男に、どこまでされました?」
「教えるわけ、ないでしょっ…!っ、ふ、」
「あぁ、ここですか?」
「やっ…やだ、!」
目の前の男の口角が、上がった。私の弱いところを見つけると、そこに触れて。煩わしくなったのか、下着の中に手を入れて直接触れられる。嫌だ。こんな男に、されたいわけじゃないのに。
「ほら、分かるでしょう?身体が熱くなるのが」
「やっ…だぁ……やだ、」
「随分と、素直じゃありませんね」
下は素直に指を受け入れるというのに。そう言って、私の中に男の指がするりと入る。その指が中でバラバラに動いて、動きに合わせるように身体が揺れる。熱い。反応する身体が、やけに熱い。
「っ、ふ……やだ、ぁ…!」
「構いませんよ、あの男だと思っていただいて。そうすれば、気も紛れるでしょう?」
「ふ、無理……やだ、お願い、」
「そんなに簡単に、引き下がるとでも?」
「やっ…!!」
中心で動く指が引きぬかれて、ぐっと脚を開かされる。その次に何をされるか、なんてわかりきっていて。脚を動かして抵抗するけれど、簡単に抑え込まれる。
そのとき、だった。
「呉羽に、何をしている」
ガンッ、と扉を破壊する大きな音。それと共に聞こえてきた、聞き慣れている声よりも低い声。その声を聞いたからだろうか。涙が頬を伝い落ちた。
2016.09.20
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