「ア、アンテナのマーク?携帯電話の!?」
「ホントだ、そっくり!」
毛利さんと鈴木さんが持って来た紙飛行機を見て、沖矢さんがすぐに指摘をした。確かに沖矢さんが手に持っている飛行機の羽部分には線が描かれていて、それは携帯電話に表示されているアンテナマークに酷似していた。
「つまり、胴体に入った5つの頂点と合わせると電波が0…。さらに最初のSOSと踏まえると…『自分は電波が届かない場所に囚われているから助けてくれ』……という意味になりますね…」
「すっごーい!!昴さん名探偵〜〜!!」
で?新一君から連絡は?と鈴木さんが面白げに毛利さんに尋ねるも連絡はまだないらしく毛利さんはその旨を述べた。ひとまずはこの紙飛行機を飛ばした人間が圏外にいて連絡が取れない、と分かったためにどこにいるかを山奥か、それとも地下なのか、という意見が飛び交う。しかし飛んできた、となると地下の線は消えて、同時に昨日この紙飛行機が飛んでいたということは今日も飛んでいるのではないだろうかと鈴木さんが言って毛利さんがテレビを点ければニュースが流れていて、内容は造船会社の社長が誘拐されたというニュースだった。
「呉羽は何か分かりました?」
「生憎こういう謎解きって得意じゃないんですよね」
「ホー……」
知ってるのなら意見を出せ、とも言わんばかりの沖矢さんにそ知らぬふりをしながら答える。正直なところあまり動きすぎても何故そんなことまで、と突っ込まれて聞かれたら答えられないので工藤君とかがいるわけじゃないから大丈夫だとは思うけどボロを出さない為にも黙るのが一番だろう。
一人だけソファーに座ったままその造船会社のニュースを見ていると、毛利さんが今朝のニュースで苦労人だった、ということを言えばピクリと沖矢さんの眉が動いた。
「いや…。無関係じゃないかもしれませんよ…」
「え?」
「誘拐され、どこかに監禁されたままだったのなら…夜な夜な犯人の目を避けてSOSの紙飛行機を飛ばしているのもうなずけます…」
「じゃあこの代田社長が紙飛行機野郎!?」
「ええ…。可能性は高いですね…。元船乗りなら船舶の非常用通信手段として使われていたモールス符号を知っていてもおかしくない…」
着々と三人が紙飛行機の真相に近付いていくのを耳で捉えながら、ソファーを降りて鞄の中からルーズリーフを取り出す。バインダーに通す為に開けられている穴を避けて三角に折って、余分な部分は折り目を付けて定規を当てて破る。簡易の折り紙としてはルーズリーフで十分だ。
(あ、イカとか折り方知らないわ)
そもそも紙飛行機なんて代表的なものしか知らなかったな、と適当にいくつか紙飛行機を作って机に並べてみる。携帯を取り出してイカってどう折るんだっけ、とネットに繋げば、紙飛行機の新着情報が出ている。私がそれを開いて確認するのと同時にテレビでも紙飛行機の続報が報道されている。表示されている紙飛行機は持ち手側に丸がひとつと欠けた丸が4つ左右対称に描かれている。その紙飛行機には折り目もあるらしいがテレビではよく分からないのも確かで、ネットで出回っている写真もまだ鮮明なものではない辺り期待は出来ないだろう。
沖矢さんは紙飛行機を見て思いついたのか自身のポケットに入れていたメモを破り、紙飛行機を折っていく。
「あ、そっちのルーズリーフも使っていいですよ」
「助かります」
あぁでもない、こうでもないと紙を折る沖矢さんの隣で、イカの折り方を見つけた私はとりあえずそれを折っていく。紙飛行機以外にもいくつか折ったのだけれど、あまり詳しくないので正直折れるものは出し尽くしてしまったのだ。まさかここで某黄色い電気ネズミを折るわけにもいくまい。
「そういえば紙飛行機っていろんな折り方があったよねぇ?」
「こういうのとか?」
「そうそう!そういうの!」
「……ちょっと、お借りしますね」
私が折り終えたイカの飛行機を毛利さんに見せれば、まさにそれを想像していたらしく声を上げる。そのイカを見た沖矢さんが私に声をかけ、横から沖矢さんが持っていき裏返したりして形状を確認する。そしてそれにマジックで黒丸を書いて、カチリとピースが合わさったことを示すように口角を上げた。
2018.3.7
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